会長挨拶

ご挨拶

臨床試験受託事業協会は健康成人を対象とした臨床薬理試験を実施している施設の協議機関として1989年に創設されました。「臨床試験に参加する被験者の安全性確保」を目的として、加盟各機関並びに本邦における第I相臨床試験を含む臨床薬理試験の質の向上、関連する学会、業界団体等との意見交換、各種学会運営支援、加盟機関におけるFIH試験実施状況、有害事象発生頻度、被験者照合状況の調査及びそれらの公表を通じ、その役割を担ってきております。
 
近年、医薬品の臨床開発につきましては試験情報の国際間での利用促進という観点から、より柔軟な戦略への対応が求められてきております。特に早期臨床試験においては、若年健康成人男性だけでなく、高齢者や女性、患者といった被験者群も対象となるなどの試験の多様化が進み、その一方で、臨床試験の国際化の定着など、臨床薬理試験実施をとりまく環境も大きく変化してきております。当協会もこれらの情勢の変化に対応すべく、協会指針の見直しを継続的に行って公表しております。
 
早期臨床試験においては、20161月にフランスで発生したFIH試験における重篤な有害事象について、あらためて被験者の安全性確保の重要性を認識、その事実を重く受けとめております。
 
被験者の安全性確保については、「被験者照合システム」の適正な利用促進、有害事象調査の継続及びその公表などを通じ、本邦における第Ⅰ相臨床試験を含む臨床薬理試験の質の向上に尽力する所存です。安全性確保の実態として、加盟機関で実施された健康成人対象の臨床試験において発生した重篤な有害事象調査については、海外に向けてその情報を発信する計画をしております。
 
25年を越える歴史を経た当協会は、今後も被験者の安全性確保に向けた照合システム運用や教育研修、各種調査による情報収集などの多彩な機能を発揮し、その役割を適切に担っていきたいと考えております。医薬品を利用される皆様をはじめ、医薬品の開発にかかわるすべての皆様に当協会の目的と活動にご理解を賜りたくお願い申し上げ、私のご挨拶とさせていただきます。
 

2017 1
臨床試験受託事業協会
会長  熊谷 雄治